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【革初心者必見】革の「なめし」を徹底解説

2022年11月4日

なめした革

衣服や小物、インテリアなど、暮らしの中にはさまざまな革製品があります。
近年は上質な合皮も増えましたが、やはり熟練職人の手による本革製品の品質には及びません。

本革製品の製造工程のなかでもクオリティーを大きく左右するのが「鞣し(なめし)」です。
この記事では、なめしの方法や革の種類、日本のなめし職人たちについてご紹介します。

 

「皮」と「革」は全然別モノ

「皮」と「革」の違いをご存じですか?
皮は、動物の最も外側の組織をはぎ取ったものを指し、英語では「skin」「hide」。

一方の革は、皮から毛を取り除き、加工して、製品の素材として仕上げたもの。英語は「leather」です。

この皮を革に加工する工程を「なめし」と呼びます。

 

そもそも「なめし」って、どんな作業?

なめし加工を施す皮なめしを漢字で書くと「鞣し」。
字の通り、革に柔らかさを与えて劣化を抑え、製品に使える状態に加工するプロセスのことです。

革製品に使われる動物の皮はもともと柔らかく丈夫なものがほとんど。
ただし、そのままでは腐敗しやすく、水分が抜けて硬くなります。
そうした劣化を防ぐために、皮のコラーゲン繊維になめし剤と呼ばれる薬剤などを結合させます。
そして、安定した素材としての革に変化させるのです。

なめし加工によって革の劣化が抑えられ、素材としての柔らかさや強度が備わります。

 

なめしの種類は大きく3つ

なめしの歴史は長く、古くは塩や油を使ったり、煙で燻す手法もあったとか。
現代では主に、以下の3種類のなめしが行われています。

  • 植物由来成分を用いた「タンニンなめし」
  • 化学物質を用いた「クロムなめし」
  • 2つの特色を組み合わせた「コンビネーションなめし」

順番に解説していきます。

 ① タンニンなめしの特徴

タンニンなめしとは、植物の樹皮などから抽出したタンニンをなめし剤に用いる手法。
古代エジプト時代より行われている最も歴史の長い手法です。

タンニンとは植物界に存在するポリフェノールの1種で、ワインやお茶を飲むと感じられるいわゆる「渋み」の成分のこと。ミモザやチェストナットなどの樹木から抽出します。

皮をタンニンに漬け込むことで、皮のたんぱく質に反応が起こり、皮から革へと変化していきます。

場合によっては数ヶ月かかることもあり、手間もかかりますが、じっくりと時間をかけて浸透させることで、しっかりとした質感の丈夫な革に仕上がります。革本来の風合いやエイジング(経年変化)を楽しめるのもタンニンなめしが施された革の醍醐味です。

なお、タンニンでなめしただけで、染色や型押しなどの仕上げ加工を施していない革を「ヌメ革」と呼びます。革のなかでも特に革らしい風合いを持ちます。

② クロムなめしの特徴

クロムなめしは19世紀にドイツで開発された技術です。塩基性硫酸クロムという薬品をなめし剤として使用します。

1日程度という短時間で仕上がり、タンニンなめしに比べると大幅に手間や時間を短縮できるのがクロムなめしの特徴です。現在流通している革製品の多くがクロムなめしで加工されています。

柔軟性や耐熱性に優れ、経年変化も少ないため、こまめなお手入れを必要としません。そうした利便性から、ソファや車のシート、衣料などさまざまな製品に用いられています。

③ コンビネーションなめしの特徴

タンニンなめしとクロムなめしの両工程を組み合わせることで、それぞれの欠点を補えるのがコンビネーションなめしです。
クロムなめしの後にタンニンを用いてなめすことで、前者の持つ耐熱性や柔軟性はそのままに、後者ならではの経年変化が楽しめるようになります。

コンビネーションなめしの革は、野球のグローブなどに使われており、革の愛好家からも支持を得ています。

 

革の主な種類とそれぞれの特徴

ここまでなめしの手法の違いを説明してきました。
革の原材料となる「原皮」の違いによっても革の種類は異なります。ここでは動物別に主な革を紹介します。

牛革

牛革革製品の中で最も流通量しているのが牛革です。食肉の副産物として生まれます。

牛の品種や部位、牛の年齢・性別によっても特徴やグレードはさまざま。代表的なものをいくつかご紹介します。

まず牛革の代表格である「カーフスキン」は、牛革の中でも最も若い生後6カ月ほどの仔牛の革です。薄手で手ざわりも心地よい、希少性の高い素材です。銀面(革の表面)の美しさも特徴的となります。

次いで、生後6カ月から2年頃の牛革を「キップスキン」と呼びます。カーフスキンと比べるとやや厚手ですが、耐久性や肌ざわりのよい素材です。

生後2年以上の成牛のうち、出産経験のある雌牛の革を「カウハイド」と呼びます。雄牛よりも薄く柔らかいのが特徴です。

成牛の雄牛の革には、ひとつは「ステアハイド」があります。生後3カ月~6カ月のうちに去勢され、生後2年以上経った成牛の雄牛です。世界的に流通量が多く、厚さや耐久性のバランスがよいため広く使われています。

成牛の雄牛で去勢されておらず、生後3年以上のものを「ブルハイド」と呼びます。種牛が使われるため、食用牛の革に比べると流通量は多くありません。牛革の中でも特に丈夫で厚く、トップクラスの耐久性を誇ります。

馬革

馬革馬の皮から作られる「馬革(ばかく)」は、他の動物に比べて筋肉質のため薄くて柔らかいのが特徴です。

馬の首を使った「ホースフロント」、成馬の胴体を使った「ホースハイド」のほか、馬の臀部を使っており希少性が高い「コードバン」などがあります。

豚革

牛革よりも軽くて通気性がよく、摩擦にも強い丈夫さが豚革の特徴です。おもにヨーロッパでは高級革素材として認識されています。

鹿革

鹿革の手袋軽くて柔らかな鹿革は、その独特の繊維構造によるしっとりとしたしなやかさが魅力。
通気性にも優れているため手袋などに使われます。雌の鹿革は「ディアスキン」、雄の鹿皮は「バックスキン」と呼ばれます。

山羊革

山羊革(ゴートレザー、ゴートスキン)の特性は牛革をも上回る強度。摩擦や型崩れに強い丈夫さを持ちながら、薄く伸縮性があります。

羊革

羊革ほかの革に比べると強度や摩擦への耐性は下がりますが、羊革ならではの柔らかさが魅力。
手に吸いつくようなしっとりとした手ざわりが特徴です。

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日本のなめし職人(タンナー)について

なめし(tanning)を行う職人は「タンナー(tanner)」と呼ばれます。
古くから革文化が根づいているヨーロッパには有名なタンナーが数多く存在しますが、日本にも熟練の技術を誇るなめし職人が多く活躍しています。

日本のタンナーは、三大皮革生産地である兵庫県の「姫路・たつの」「和歌山」「東京」に多く集まっています。

中でも、日本一の生産量を誇る姫路・たつのエリアは、古くは中国大陸から製革技術が伝承されたといわれる歴史ある生産地。
なめしに向いた豊かな自然のもと、職人たちの卓越した技術により世界レベルの高品質な革製品が作られています。

 

まとめ

ここまで、革製品の製作の要であるなめしについてご紹介してきました。

熟練の技術を持つ職人がなめしを行うことによって、長く使える丈夫で質の高い革製品に仕上がります。
近年では、エシカルレザーなどサステナブルな革製品に注目が高まっていますが、それには彼らの技術が欠かせません。

手間ひまをかけて丁寧に作られた革製品は、贈り物や記念品などにぴったりです。
特別なシーンを彩るアイテムをお探しの方は、ぜひ革製品をセレクトしてみてはいかがでしょうか。

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